学校で子どもたちが安心して過ごすために
集団の状態に応じた支援の在り方を探る
平成19年度 佐賀県教育センター プロジェクト研究 人間関係づくり研究委員会


 
  集計表に入力後,以下のような点に着目すると分析の手掛かりになります。
   ただし,日ごろの学級や部の様子の観察などと併用して活用することを前提としており,
   調査結果は,手掛かりとするもので,絶対的なものではありません。
    また,調査結果が示す学級や部の状態は,調査実施時点のもので固定されたものではありません。

    〈集団の状態のグラフから〉
@児童(生徒)の結果で値の低い項目はどれか。  
     →低い原因を考え,集団に対する支援および個別に対する
       支援を考える。
A 児童(生徒)の結果で値の高い項目はどれか。 
   →集団の長所として生かす、ほめてあげる。
B児童(生徒)と教師の点数の差が大きい項目はどれか。
    →意識のずれを認め、ずれの原因を考えてみる。
      教師の意識を修正し,どこに支援のウエイトを置くか考える。
C 児童(生徒)と教師の点数の差が小さい項目はどれか。 
   →点数が高い場合は,現在よい取り組みをしていると考えて
      いいと思われる。
      点数が低い場合は,お互いに支援が必要であると感じて
      いるので,何らかの手を打つ必要がある。
*教師が「できていない」と気にしている部分が児童生徒に
  とっては「そうでもない」時もあります。反対に「できている」
  と思っていた部分が,一部の児童生徒に限られた状態で,
  「不満を感じている」児童生徒が多い,という場合もあります。

  右上のグラフからは以下のようなことが読み取れます。
 
      この結果から・・・                   
 

                                                   というような見取り方もできます。
    具体的なシートの活用例はこちら
  
    支援のポイントはこちら ↓
                  
   
 集団全体の状態を見た後に,個人別の集計表を見ていくと,個々の実態が見えてきます。

      <個人別の集計表から>
D 低い点数(2点以下)を付けた児童(生徒)に着目し,どの項目に低い点数が付いているのかをチェックする。 
      
 →支援が必要(個別の対応,または、全体へ対応する中で関係をよくしていく。)
E 高い点数を付けている児童(生徒)  
       → おおむね満足している。教師がつかんでいない長所や新しい面の発見。
F 教師と大きく違う点を付けている児童(生徒) 
       
→ 思いもよらず低い点数を付けている児童生徒には,特に注意が必要。その原因や支援策を考える。


例えば・・・







































◆児童の値が低いのは「2.友達との関係」項目で,高いのは「4.授業への意欲」項目である。

◆児童と教師予想値の差が大きいのは「4.授業への意欲」項目 であり,差が小さいのは「3.自己存在感」項目である。

*各項目は   
 1.クラスの雰囲気 2.友達との関係 
 3.自己存在感    4.授業への意欲 
 5.教師との関係
(例)
学級の雰囲気は このままのいい状態を 維持していきたいな。
Cの児童は友達関係や授業の面で 配慮が必要なようです。
必ずしも成績と一致しているとは言えない場合があります。学習の様子を観察したり、生活面と合わせて考えたりする必要がありそうです。
出席番号 C D E F G

友達

の関係
1.「一緒に遊ぼう」と 声をかけてくれる 友だちがいると思いますか。 3 3 4 4 3
2.何でも話せて 分かってくれる 友だちがいると思いますか。 2 2 3 3 2
3.困っているときに 助けてくれる 友だちがいると思いますか。 3 3 4 3 3
4.友だちは ひみつや 約そくを 守ってくれると思いますか。 2 4 4 3 3
5.あなたは,悪口や ぼう力などで 友だちから 傷つけられることがありますか。 3 3 4 3 3
2計 13 15 19 16 14

授業



1.授業中に「できた」「わかった」など 満足感を感じることが ありますか。 3 3 4 2 3
2.自分の考えをノートに書く,大事なところに印をつけるなど,進んで授業に参加していると思いますか。 2 3 4 2 3
3.授業の中で,自分なりに 工夫したり,別のやり方を 考えたりすることが ありますか。 2 4 3 2 3
4.授業で分からなかったことを,先生や友だちに たずねることがありますか。 2 4 4 3 3
5.授業中に,自分から やってみたい(調べたい,作ってみたい)と思うことが ありますか。 2 3 4 2 3
  4計 11 17 19 11 15
 
  〈中学生・高校生について〉
クラスの状態と部活動の状態を合わせて見ることもできます。
 (例)クラスではうまくいってないが,部活動では自分の存在を感じているようだ。
    クラスでは生き生きとしているが,部活動ではつらい思いをしているようだ。 ・・・など。
  〈部活の状態について〉
学級の状態のグラフと同様に,
 ◆点数の低い項目
 ◆点数の高い項目
 ◆顧問との点数の差が大きい項目
 ・・・ などに注目して見てください。
*顧問の先生は,最上級生を中心に部の様子を見ている場合が多いようです。
  学年別に見た場合,下学年の支援が必要なケースが見付かることもあります。

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児童間の
信頼関係を
築いていく
必要があり
そうです。